安心して暮らし、学べる場所を - モザンビークの村と学校で取り組む水衛生支援
2025/12/4 10:23
モザンビークの農村部や学校では、まだ安全な水やトイレがないため、毎日の暮らしや学びに困難がある地域があります。川や沼から水を汲む、自宅や学校にトイレがない、生理の日は学校を休む――そんな現状が、子どもたちの生活に影響を与えています。

今回はこのような課題を抱えるモザンビークで私たちが実施した、2つの水衛生環境改善事業についてご紹介します。

ガザ州:村に安全な水を届ける
ガザ州の農村では、壊れた井戸や給水施設、もともと施設がない地域も多く、住民は川や沼から汲んだ不衛生な水を生活に使っていました。私たちは井戸や給水施設の建設・修繕を行い、3年間で21,000人以上が安全な水を利用できるようになりました。

学校には新しいトイレを17校に建設し、約5,000人の子どもたちが安心して学べる環境を整えました。さらに、野外排泄ゼロを目指す衛生教育や世帯トイレの普及活動を通して、3,920世帯の衛生環境の向上を支えました。

事業中にはサイクロンによる被害や、住民の理解が得られにくい状況など、多くの課題もありましたが、地域の人々と一緒に乗り越えながら3年間活動を進めることができました。
カーボデルガード州:学校で安心して学べる環境を
カーボデルガード州ペンバ市では、学校にトイレや水道がなく、13%の女子生徒が生理中は学校を休む状況でした。また、モザンビークの学校カリキュラムには月経教育が含まれていないため、女の子たちは叔母や祖母などに相談して対処方法を学ぶことが一般的で、正しい情報を得る機会が限られています。
そこで私たちは、対象校にて月経教育を実施するとともに、トイレや保健室、ハンドポンプを建設し、1年間で2,100名の女子生徒に生理用品を配付しました。これにより、女子生徒たちが安心して学校に通える環境を整えました。
皆さまの支援が未来につながります
安全な水やトイレの利用、学校での衛生教育を通じて、対象地における地域の暮らしや学びの環境改善につなげることができました。しかし、同様の課題はまだ多くの地域にも残っている上、同国はサイクロンなどの自然災害の影響を受けやすい地域でもあり、そういった支援ニーズも高い状況です。私たちはこうした地域において、暮らしや学びを守る支援を引き続き行ってまいります。温かいご支援をどうぞよろしくお願いいたします。

災害に負けない地域をつくる──バングラデシュで広がる防災・環境活動
2025/11/18 12:49
南アジアに位置するバングラデシュは、近年の気候変動の影響を強く受ける国のひとつです。特に沿岸部では毎年サイクロンや高潮が家や農地を襲い、人々の暮らしを脅かしています。下記写真は、2024年5月にバングラデシュ沿岸部を襲った大型サイクロン「レマル(Remal)」の被害の様子です。


こうした自然災害に備え、グッドネーバーズ・ジャパンは地域の人々とともに、防災力と環境保全を高める取り組みを長期にわたって続けています。2022年から2025年9月まで、南部沿岸地域で長期的な防災支援を行いました。主な取り組みは、多目的サイクロンシェルターの建設と住民の防災対応能力の強化です。サイクロンシェルターはサイクロンや高潮の際に安全に避難できる施設として整備され、災害時の被害を減らす役割を果たしています。下記写真は本事業で建設したサイクロンシェルターです。
同時に、災害管理員会の設立、防災研修・防災啓発イベント・防災訓練の実施、各防災関係者の会議の開催などを行い、地域全体で災害に備える力を育てました。実際に、2024年は大きなサイクロンが到来しましたが、災害管理委員会や地域の防災組織などが協力をし、事前に住民に避難を呼びかけるなどの様子が見られました。

また2025年7月からは、沿岸の村々を中心に環境保全と防災を両立させる植林事業を開始し、これまでに4,050本の植林を行いました。植林は気候変動の影響を緩和することが期待されますが、私たちの支援では、果樹を個人宅へ植林することで、地域住民の将来的な収入向上にもつながるよう工夫しています。海岸や川沿いには、サイクロンによる風や波、雨などを和らげる防災林としてのマングローブを植え、地域の若者を中心にボランティアが活動に参加しています。

植林に際しては、事前に参加者に気候変動と災害の関係や、植林が地域防災につながる意義を学んでもらったうえで作業を行うため、行動そのものが地域の防災学習になっています。また地域の行政やリーダーとの調整会議も行い、活動の目的や今後の計画を共有することで、地域と協力した持続可能な取り組みを進めています。

これまでの活動で地域の防災力や環境意識は少しずつ高まっていますが、支援が届いていない地域や家庭はまだ多く残されています。
バングラデシュの人々は、毎年の災害に不安を抱えながらも家族と共にこの土地で暮らし続けることを願っています。私たちの活動は、その願いを支え、地域が自分たちの力で未来を守れるようになる取り組みです。皆さまの温かい応援が、バングラデシュを含む、地域の安心と子どもたちの未来につながります。
地域の復興をささえる鍵・ウクライナの女性への職業訓練
2025/11/6 13:00
グッドネーバーズ・ジャパンは、現在、南部ミコライウ州で、地域の女性を中心とした職業訓練を実施し、仕事につながるスキル習得を支援しています。

ウクライナでは、2022年2月の全面侵攻以降、多くの人々が国内外へ避難しました。地方都市や農村部では人口が減り、これまで男性が担ってきた仕事の担い手も不足しています。女性の雇用創出は、地域の生活と復興を支える鍵になっています。私たちの事業では、将来、地域の担い手としてウクライナの経済と復興に貢献できる人材を育てることを目指しています。

ウクライナでは美容(ネイル、理容等)は大きな産業の一つです。ミコライウ市のネイルコースに参加する女性たちは「自分の村には仕事がないので、手に職をつけたい。」「戦前に少し経験はあったが、きちんとした訓練を受けられなかったのでありがたい。いつか自宅でお客さんを取れるようになりたい。」などと語ってくれました。また、「自分の手で美を生み出すことで、“女性は何だってできる”と証明したい。」と語る参加者もいます。
また、事業地の一つである州東部のスニフリウカは、2022年に一時、ロシア占領下に置かれた地域です。軍が撤退する際にもともとあった職業訓練施設が破壊され、備品もすべて略奪されました。地域の人々はゼロから修復を進め、今はその場所で職業訓練を実施できるようにまでなりました。施設の一部はまだ壊れたまま、重機類も戻っていません。
この地域では、復旧した職業訓練施設と協働し、塗装・左官コースを提供しています。自宅を破壊された参加者は、「まずは自分の家を直したい。そして、地域の高齢者の家の修繕も手伝いたい。」と話します。占領と破壊の傷跡が残る土地で、人々が自ら復旧を始め、支えあいながら前へ進む姿に、復興への強い希望を感じます。

一方で、占領を生き延びた人たちには、精神面の影響も残ります。キャリアカウンセリングを担当するスタッフは「占領下を生き抜いた女性は、自分の可能性を過小評価してしまう傾向があります。まずは”働けるかもしれない”と思えるマインドセットから一緒に整えています。」と話します。
ウクライナでは、戦争被害、避難、動員による人口の変化や、帰還兵のメンタルヘルスと家族への影響など、日々さまざまな課題に対応することを余儀なくされています。砲撃や空襲警報が続く不安定な状況のなかでも、人々は地域で力を合わせ、復興の歩みを止めずにいます。
遠い日本から寄せられた支援に対し、地域の人々から多くの感謝の声が届いています。大阪マラソンのチャリティを通じたご寄付は、ウクライナの人々を含む、このような状況にいる方々の命と未来を支える活動に活用させていただきます。
エチオピアの子どもたちへの平和構築活動
2025/10/22 12:19
エチオピア南部では、2018年の民族紛争や近年の干ばつ・洪水により、多くの人々が家や生計を失い、地域の分断が続いています。
グッドネーバーズ・ジャパンは、そうした状況の中で、地域住民が互いを理解し、共に生きる力を育むための平和構築事業を進めています。

南エチオピア州のある小学校では、子どもたちが「平和とは何か?」をテーマに活動する“ピースクラブ”を結成しました。話し合いや発表を重ねる中で、子どもたちからは、「平和とは、友達とサッカーができること」「争いが起きたら話し合いで解決しよう」など、素直で力強い声があがりました。
クラブの子どもたちは、平和をテーマにした歌や劇を自分たちで作り上げ、学校や村で披露しました。劇では、意見の違いから喧嘩になる子どもたちが、対話を通じて仲直りする姿を描き、観る人に「暴力ではなく対話で」というメッセージを伝えました。

小さな学校の取り組みですが、その行動と気づきが、地域の人々に平和の輪を広げています。
皆さまからの温かいご支援が、子どもたちや地域の人々の一歩をさらに大きくします。大阪マラソンのチャリティによる当団体へのご寄付は、このような活動に活用させていただきます。

