地域の復興をささえる鍵・ウクライナの女性への職業訓練
2025/11/6 13:00
グッドネーバーズ・ジャパンは、現在、南部ミコライウ州で、地域の女性を中心とした職業訓練を実施し、仕事につながるスキル習得を支援しています。

ウクライナでは、2022年2月の全面侵攻以降、多くの人々が国内外へ避難しました。地方都市や農村部では人口が減り、これまで男性が担ってきた仕事の担い手も不足しています。女性の雇用創出は、地域の生活と復興を支える鍵になっています。私たちの事業では、将来、地域の担い手としてウクライナの経済と復興に貢献できる人材を育てることを目指しています。

ウクライナでは美容(ネイル、理容等)は大きな産業の一つです。ミコライウ市のネイルコースに参加する女性たちは「自分の村には仕事がないので、手に職をつけたい。」「戦前に少し経験はあったが、きちんとした訓練を受けられなかったのでありがたい。いつか自宅でお客さんを取れるようになりたい。」などと語ってくれました。また、「自分の手で美を生み出すことで、“女性は何だってできる”と証明したい。」と語る参加者もいます。
また、事業地の一つである州東部のスニフリウカは、2022年に一時、ロシア占領下に置かれた地域です。軍が撤退する際にもともとあった職業訓練施設が破壊され、備品もすべて略奪されました。地域の人々はゼロから修復を進め、今はその場所で職業訓練を実施できるようにまでなりました。施設の一部はまだ壊れたまま、重機類も戻っていません。
この地域では、復旧した職業訓練施設と協働し、塗装・左官コースを提供しています。自宅を破壊された参加者は、「まずは自分の家を直したい。そして、地域の高齢者の家の修繕も手伝いたい。」と話します。占領と破壊の傷跡が残る土地で、人々が自ら復旧を始め、支えあいながら前へ進む姿に、復興への強い希望を感じます。

一方で、占領を生き延びた人たちには、精神面の影響も残ります。キャリアカウンセリングを担当するスタッフは「占領下を生き抜いた女性は、自分の可能性を過小評価してしまう傾向があります。まずは”働けるかもしれない”と思えるマインドセットから一緒に整えています。」と話します。
ウクライナでは、戦争被害、避難、動員による人口の変化や、帰還兵のメンタルヘルスと家族への影響など、日々さまざまな課題に対応することを余儀なくされています。砲撃や空襲警報が続く不安定な状況のなかでも、人々は地域で力を合わせ、復興の歩みを止めずにいます。
遠い日本から寄せられた支援に対し、地域の人々から多くの感謝の声が届いています。大阪マラソンのチャリティを通じたご寄付は、ウクライナの人々を含む、このような状況にいる方々の命と未来を支える活動に活用させていただきます。
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