災害に負けない地域をつくる──バングラデシュで広がる防災・環境活動
2025/11/18 12:49
南アジアに位置するバングラデシュは、近年の気候変動の影響を強く受ける国のひとつです。特に沿岸部では毎年サイクロンや高潮が家や農地を襲い、人々の暮らしを脅かしています。下記写真は、2024年5月にバングラデシュ沿岸部を襲った大型サイクロン「レマル(Remal)」の被害の様子です。


こうした自然災害に備え、グッドネーバーズ・ジャパンは地域の人々とともに、防災力と環境保全を高める取り組みを長期にわたって続けています。2022年から2025年9月まで、南部沿岸地域で長期的な防災支援を行いました。主な取り組みは、多目的サイクロンシェルターの建設と住民の防災対応能力の強化です。サイクロンシェルターはサイクロンや高潮の際に安全に避難できる施設として整備され、災害時の被害を減らす役割を果たしています。下記写真は本事業で建設したサイクロンシェルターです。
同時に、災害管理員会の設立、防災研修・防災啓発イベント・防災訓練の実施、各防災関係者の会議の開催などを行い、地域全体で災害に備える力を育てました。実際に、2024年は大きなサイクロンが到来しましたが、災害管理委員会や地域の防災組織などが協力をし、事前に住民に避難を呼びかけるなどの様子が見られました。

また2025年7月からは、沿岸の村々を中心に環境保全と防災を両立させる植林事業を開始し、これまでに4,050本の植林を行いました。植林は気候変動の影響を緩和することが期待されますが、私たちの支援では、果樹を個人宅へ植林することで、地域住民の将来的な収入向上にもつながるよう工夫しています。海岸や川沿いには、サイクロンによる風や波、雨などを和らげる防災林としてのマングローブを植え、地域の若者を中心にボランティアが活動に参加しています。

植林に際しては、事前に参加者に気候変動と災害の関係や、植林が地域防災につながる意義を学んでもらったうえで作業を行うため、行動そのものが地域の防災学習になっています。また地域の行政やリーダーとの調整会議も行い、活動の目的や今後の計画を共有することで、地域と協力した持続可能な取り組みを進めています。

これまでの活動で地域の防災力や環境意識は少しずつ高まっていますが、支援が届いていない地域や家庭はまだ多く残されています。
バングラデシュの人々は、毎年の災害に不安を抱えながらも家族と共にこの土地で暮らし続けることを願っています。私たちの活動は、その願いを支え、地域が自分たちの力で未来を守れるようになる取り組みです。皆さまの温かい応援が、バングラデシュを含む、地域の安心と子どもたちの未来につながります。
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