イヤだったマラソンに、またチャレンジする理由

ランナーページをご覧いただきまして、ありがとうございます。

NPO法人育て上げネットの中町（なかまち）です。

大阪マラソンのチャリティランナーにエントリーするのはこれで２回目です。

１回目の2016年はNPOに入職した初年度で、寄付での資金調達の意義などもわかっておらず、記念的な意味合いでエントリーしました。

みなさまの応援のおかげで完走はできましたが、大会で足を痛めたのもあり、もう２度と出たくないなとその時は思っていました。

ただ、今回の2023年大会は前とは違った気持ちでエントリーをしました。

育て上げネットに入って7年がたち、自分なりに「何とかしたい」ということがあり、みんなに知ってほしい、協力してほしいという気持ちになり、マラソン走る（イヤ、歩きます）決意をしました。

働きたくても働けない、そして働くことを「あきらめる」若者がいる

私は現在育て上げネットの大阪拠点で働いています。

大阪市からの委託事業で、15歳～39歳の方の働くことや将来の進路について相談やプログラムなどを提供しています。

 （卒業生たちのメッセージ）

雇用されることを前提とした「就職」のための支援だけでなく、スモールビジネスなどのその方にあった働き方や、復学・進学などの次の進路についてサポートをしています。

自ら相談にこられない方には、家庭訪問をさせていただいたり、高校や区役所などその方が行きやすい場所でお話したりなど、相談施設に来なくてもお会いできるようなアウトリーチも行っています。

最近は、高校の先生に依頼をいただき学校に行かせていただくことも多いのですが、卒業後の進路で「就職」を希望しているものの、学校の就職指導にうまくのれない生徒がたくさんいることを知りました。

家庭環境や「これ以上勉強したくない」というような気持ちから「就職」を選択する（せざるえない）生徒が多いのですが、短い高校生活の中では「自分に何ができるのか」「どんな仕事があるのか」などの判断材料が十分に揃えることができず、主体的に「就職活動」に取り組むことができず、取り残されてしまう生徒が多くいます。

そういった状況に陥った生徒は、さらに自信を失ってしまい、働くこと自体を諦めてしまったり、働くことに対して拒否的な態度をとってしまったりします。

諦めてしまう前に、「働いて稼ぐ経験」「お金を使う経験」を得れる機会を創りたい

もし、在学中にアルバイトなどの働く経験が出来れば（アルバイトNGの高校もありますが・・・）、

・「働けた」「給料を得た」という自信（必ずしも自信につながるとは限りませんが、「働けた」「稼げた」という事実は残ります）

・実体験にもとづいた得手不得手の理解

・稼いだお金で自己欲求を満たす経験（好きなお菓子やゲームを買う、など）

などの、働く意欲を持つための色々な要素が獲得できます。

ただ、高校生という年代では選べる職種もかなり限定されてしまううえ、家庭の事情で働くことを制限されられたり（ヤングケアラー等）、コミュニケーションが苦手だったり何らかの障がいや特性ゆえに面接に落ち続けてしまったりなど、アルバイトの壁を乗り越えられず働くことにチャレンジする気持ちが持てなくなる高校生もいます。

そのような働くことを諦めてしまいそうになっている高校生たちと接しているうちに、その生徒に合った働き方と安心できる環境の中で、「働く」と「稼ぐ」、そして「お金を使う」という経験ができるような場を創りたいと思っています。

「働く」ことに希望を持てる高校生が増えてほしい

私が在籍している施設もそうですが、多くの支援施設は対処療法です。

すでに困っている状態の方がそれを何とかしたいと思って支援施設にたどり着きます。

もちろんそれは社会的にとても大切な機能と役目なので、これからも全力でそういった方のサポートは行っていきますが、少しでも将来の「困った」が少なくなるような、そんな予防的な活動もとても重要ではないかと感じています。

「何も経験できなかった」という状態からの再出発と、「一度●●をやってみたけど、×××だった」という状態とでは、その先の進路を決める上ではとても大きな違いがあります。

また、お金を稼ぐことや使うことが良い思い出になっていたとしたら、その方にとって今後の「働く」という選択肢はとても前向きなものになります。

今回集まった寄付は、そのような状態の高校生に対して、私たちのお仕事を手伝っていただいた対価としてのお給料を支払う費用に充てさせていただきます。

郵送物の封入作業、PCでの簡単な入力作業、施設の清掃、企業とのイベント出展のお手伝いなどなど、すでに高校生とつながっている私たちが、その方に合わせた仕事を提供します。

現時点ではアルバイトができるほどの体力やスキルや自信がなくとも、私たちが一緒にその人ができることを考えて仕事できる場を創りたいと思います。

そのために、この大阪マラソンにチャリティランナーとして走り、最低70,000円の寄付を募ります。

多くの高校生が「働く」ことに希望を持てるよう、みなさまの力を貸してください。