【団体・活動紹介】
ミャンマーとベトナムで国際協力活動をしている日本のNGOブリッジ エーシア ジャパン(BAJ)です。1993年設立。
【寄付金の使途】
大阪マラソン2023でいただいたご寄付は、ミャンマーとベトナムで子どもたちや女性たちの学びの環境インフラを整える活動に活用します。
【寄付控除の有無】
有り(認定NPO法人です)
寄付金控除についての詳細は下記URLをご確認ください。
https://www.baj-npo.org/donation/deduction.html
ストーリー
団体紹介
もうすぐ設立30年目の日本のNGO
私たち ブリッジ エーシア ジャパン(BAJ)は主にミャンマーとベトナムで国際協力活動をしています。1993年に任意団体として発足し、1999年にNPO法人化、2007年に認定NPO法人を取得しました。
貧困、難民、紛争などの解決困難な課題に草の根レベルで取り組む
私たちはアジア地域のさまざまな課題に対し、地域の住民と一緒に考え行動することで解決の道を探ります。宗教や言語の違いを越え、インフラ整備、技術訓練、教育支援などの事業を通して、異なる背景を持つ人々のあいだに相互理解と信頼の架け橋を築くことを目指しています。
(1995年 ミャンマーマウンドーの車両機械の整備場開所式)
ミャンマーとベトナムで取り組んでいる社会課題
ミャンマーとベトナムでいろいろな課題に取り組んでいます。活動の概要をご紹介します。
ミャンマー
① 帰還する難民たちと村落コミュニティの生活環境を改善
ミャンマー西部、バングラディシュとの国境地域であるラカイン州北部はいわゆるロヒンギャと呼ばれるムスリム系住民が多く住む地域として有名ですが、政情不安や紛争の影響などで大量の難民が発生してきた場所でもあります。
BAJは90年代から国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)のパートナー団体として活動を開始し、現在は難民の帰還に向けた同地域の村落の生活環境を整備する活動(道路整備、貯水地修繕、井戸掘削、ソーラー街灯設置など)をしています。
② 学びの場を通じた民族融和
ラカイン州北部の複雑な民族の状況において、異なる背景を超えて相互理解と信頼関係を築くことは重要です。私たちは異なる民族同士の女性たちを集めて小さな裁縫教室を運営しています。様々な学びの機会を提供するとともに、学びの場を通じた民族融和を促す活動です。この地域にとって大切な場所であると考えています。
③ 子どもたちの学習環境の整備
ヤンゴン郊外の孤児院や寺子屋学校などを中心に、本棚と図書をセットにした「小さな図書室」を寄贈する活動をしています。コロナや政情不安の影響から、こうした施設の運営にも多くの困難が出ていますが、子どもたちは学び続けています。図書の寄贈を通じて、子どもたちを少しでも勇気づけ、読書の喜びや楽しみを届けていきたいと考えています。
ベトナム
① 地域の自然や文化を学び、子どもたちに自信と誇りを!
長年ベトナムのフエ市で子どもたちと環境活動を進めてきました。現在は市内3つの小中学校で環境教育の授業や、地域の自然や伝統を学び、その価値を実感してもらい、未来につなげていくための様々な学習の機会をつくっています。また、学校側と協議した上で、経済的に困難な状況を抱えている子どもたちへの奨学金の支給も一部行なっています。
② 経済発展と調和した持続可能な農業の模索
同じくフエ市にて、零細農家の収入向上支援活動を行なっています。町の発展とともに、地域に残る小さな農家は次々に農業をやめています。どうして経済発展とともに零細農家のしごとや生活文化は失われてしまうのでしょうか。技術と経済の2つのアプローチ(バイオガスダイジェスターと直売所運営)で、昔ながらの零細農家のくらしや文化を守り、発展させていく活動をしています。
私たちが理想とする国際協力のすがた
違いをこえて、ともに知恵を出し合い、ともに生きる道をさぐる
世界中の解決困難な課題に対し、異なる背景を超えて、ともに考え、行動するプロセスこそが、たがいの理解と信頼を育み、よりよい社会を創り出すと信じています。解決策も重要ですが、そこに至るアプローチやプロセスも同じかそれ以上に重要だと考えています。
等身大の対等な国際協力をめざして
支援する側とされる側で、目線が上と下で分かれてしまうと、本当によい活動は難しいと考えています。等身大で向き合い、お互いに学び合う姿勢があるからこそ、難しい困難な課題に対して、勇気が湧いてきますし、いい知恵も出てきます。困難を分かち合い、ゆたかさを学び合う。専門的な技術も参考にしながら、よい意味でのアマチュア精神を失わず、謙虚に、対等に、地域の人々と向き合っていく。そうした国際協力を目指しています。
事業体制と実績
現在、東京、ベトナム、ミャンマーの3ヵ国計4か所に事務所を構え、日本人7名、ベトナム人4名、ミャンマー人60名のスタッフ体制で活動しています。
年表
1993年に設立。ベトナムの戦後復興支援、障害者支援が活動の原点。
1994年より国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)の要請を受け、ミャンマーのラカイン州を拠点に帰還難民の定住促進事業として車両整備や技術訓練等を実施。
2000年よりミャンマー中央乾燥地域で生活用水供給事業を開始。
2002年にベトナムに事務所を設け、貧困地域の生活改善事業を推進し、農家支援も開始。
2012年よりミャンマーラカイン州にて小学校建設事業を開始。
2014年ベトナム・フエに零細農家を支援する直売所を開設。同年ミャンマーパアン市にて技術訓練学校を運営(2019年引継ぎ完了)。
2019年1月よりUNHCRと共にラカイン州北部にて小規模インフラ整備事業を開始。
2022年、ミャンマー都市部の孤児院等で図書寄贈開始。ベトナムにて子どもたちの環境教育活動と農家支援を継続。
これまでの実績(主なもの)
【ミャンマー】
●整備した基礎インフラ
基礎インフラ建設(道路・桟橋・貯水池・排水路など))115件
新規井戸掘削建設 537本
井戸・給水設備修繕 469か所
●実施した技術・技能研修
車両・エンジンなど修理 5,801件
保守・整備研修 165回開催 1,187名参加
●教育環境の支援
建設・修繕した学校校舎 325校
防災林教育研修実施 252回、 7,775人
学校教材林植樹 5か村、 51,690本
図書とおもちゃの棚寄贈 116校、 25,157人
【ベトナム】
●子どもの支援
補習・奨学金・生活支援 1,312 名
障がい児者支援 206名
● 環境改善
ゴミ分別活動参加者(2002~2011年)3,440名以上
環境学習・実践参加児童 4,583名
●貧困農家経営支援
バイオガスダイジェスター設置農家軒数 95基
直売所出荷農家数 延べ60世帯以上
いま最も力を入れている活動
大阪マラソン2023のご寄付で、ミャンマーとベトナムの女性や子どもたちの学びの環境インフラを整備します
ミャンマー
ラカイン北部にて異なる民族同士の女性たちが学び合う裁縫教室の開設と運営
20人の女性たちに8か月間のコースを実施するために約300万円が掛かります。そちらの費用に活用します。
ヤンゴンにて孤児院や寺子屋へ図書と本棚のセット(小さな図書室)を寄贈
本棚と図書のセットは1か所あたり約18万円で寄贈ができます。現地の状況を見ながら、安全に注意して、着実に寄贈を進めていきます。
ベトナム
フエにて地元農家と協力した子どもたちの食育授業(収穫+調理)の準備と実施
同じく子どもたちの環境問題の意識を高める良質な学習教材の調達と授業の実施
上記2つの活動を含めて、フエ市でおこなっている環境教育活動は年間約200万円ほどで運営しています。こちらの活動費用に活用いたします。
大阪マラソン2023でランナーの皆さんとやりたいこと
関心の格差をこえて、多様な世界を発信したい
現在、国際協力に対する関心の格差が広がっています。分かりやすい例がミャンマーです。ウクライナでの戦争の報道の影で、かの地での惨状は人々の関心を引かなくなりました。ロシアと国境を接する日本にとって仕方がない面もあります。しかし、国際協力は安全保障といった特定の価値基準によって矮小化されるものではありません。
私たち草の根のNGOにとって国際協力とは、違いをこえて信頼関係を築く営みです。それは社会政策的な、引いた目線で進めるものではなく、感情を動かして出会った人々と縁を結び、個別の状況にひたすら向き合っていく泥臭いものです。
いいかえれば、関心の格差をこえて、多様な国際協力を身近にするためには、もっともらしさ、真面目さだけでは足りません。喜びや楽しみを通じて、いろいろな人と縁を結んでいくこと。ともに汗を流して共感し合うこと。「旅」のような気軽さ、「スポーツ」のような風通しのよさが、いまの国際協力には必要です。
マラソンを通じて、東南アジアに『旅』に出よう
ぜひランナーのみなさんにはBAJという「窓」を通じて、ベトナムとミャンマーのさまざまな風景に出会ってほしいと思っています。コロナ禍で得たオンライン活動の経験を活かして、いろいろなオンライン・イベントを企画しています。そこで、ミャンマーとベトナムの社会課題に触れていただくことはもちろんですが、それだけに留まらない、彼の地の社会や文化の魅力、日本にはない可能性、自然や人々の美しさを、さわやかに、気軽に、ともに感じられたらと思っています。マラソンを通じて『旅』に出かける。それが大阪マラソン2023で、ランナーの皆さんとやりたいことです。
具体的には、下記の活動を考えています。
●オンライン・コミュニティ(定期交流会)
当団体主催でオンライン定期交流会を実施します。交流会の頻度は月1回程度で二部構成を予定。第一部は「ベトナムとミャンマーの文化を学ぶ」をキーワードにした参加型ワークショップシリーズ(語学教室など)、第二部はランナー各自が本番に向けた準備状況をざっくばらんに情報共有する場にします。
●市民組織の強みを活かす多世代、異業種交流
第一部では、ゲストに在日ベトナム人/ミャンマー人ボランティアや学生ボランティアなどを招きます。市民組織だからこそ生まれる出会いを感じてもらい、ふだんなかなか接点のない人々と関わりながら、楽しくチャリティを経験できる場を作ります。
●NGOの強みを活かす海外現場視察
オンライン・ツアーにご招待し、支援がどのような活動現場に活かされるかを実感できる機会を作ります。現地とは英語を介して適宜日本語に通訳します。
代表メッセージ
根本悦子/BAJ理事長
BAJはベトナム戦争終結後の1980年代から細々と復興支援を続け、1994年に国連(UNHCR)の要請に応じるかたちでミャンマーでの活動を開始しました。とくにミャンマーの活動は、その後の想像をこえて大きなものとなりました。
私たちBAJは、「ともに知恵を出し合い、ともに汗を流す」という理念で活動を進めてきました。というのも、「現状のミャンマーを支援するのはいかがなものか」という声にお応えしたいのです。
いまから27年前、軍事政権のミャンマーで活動を開始したとき、やはり同じ意見を言われました。そこで当時、日本で生活をたてながらミャンマー民主化の活動家に相談したところ、「NGOとしてミャンマーに入れるならぜひ入ってほしい」という言葉をいただいたことが決断する力となったからです。
実際ミャンマーに調査で足を踏み入れたところ、現場で起きている事実の監視役として、よそ者である私たちの存在が大きな力となることが分かりました。
ミャンマーで活動するNGOは、現在さまざまな規制を受けており、計画通りに事業を進めることが困難な情況にあります。そうしたなかで、BAJは現地職員と相談しながら、できることはないかと探っています。困難な情況下でも現地の人々と向き合い、少しでも希望につなげていきたいのです。
私たちBAJはあきらめません。ミャンマーでこれからも活動を進めていきます。どうか皆様からのエールやご支援を賜りたく、心よりお願い申し上げます。
さいごに
最後までお読みいただき、誠にありがとうございました。
じつはBAJは今回大阪マラソンの寄付先団体に選ばれたのは二度目です。前回は2016年でした。この6年、いろいろなことがありました。ランナーの皆さまもそうだと想像いたします。ミャンマーもベトナムも同じです。今回、寄付先団体の一つに選んでいただいたことで、ようやく前を向いて、あたらしい一歩を踏み出せそうな希望を感じています。
皆さまといっしょに大阪を駆け抜けたいと思います。ぜひBAJのチャリティランナーになっていただき、大阪の風とともに、東南アジアの風に触れていただければ、とても嬉しいです。