ゆきへの贖罪
2021/2/3 12:15
私が初めて、しあわせの種たちという団体の存在を知ったのは、3年ほど前になります。
あまり頻繁に見ていたわけではない、Facebookに、白い小さな犬が、殺処分寸前で里親を募集しているという投稿でした。
その白い犬を見ていたら、40年近く前、私がまだ小学生だった頃飼っていた、ゆきという犬を思い出しました。 ゆきは普通の雑種犬で、どういう経緯でうちに来たのかは、今はもう思い出せませんが、白くて可愛い雌犬でした。 40年も昔のことなので、その頃は、雑種犬は外で番犬として飼うことが普通で、ご飯も人間の残飯処理のような存在でした。 暑くても、寒くても外にいて、散歩もそんなにきちんとしてあげられず、避妊手術や予防接種なんて、考えにも及びませんでした。 今の飼い犬を見ていたら、なんてずさんなことをしていたのかと思いますが、その頃はそれが普通でした。
ゆきは、何回か子犬を産みました。 三回目くらいの妊娠の時、母が「もう子犬の貰い手もないから、子犬が生まれる前に、このまま、ゆきは捨てよう」と言い出しました。 ゆきとの別れはもちろんとても悲しかったのですが、子供の私にはどうすることも出来ませんでした。 ゆきは車に乗せられ、遠い場所に置き去りにされました。
Facebookで見ている犬とゆきがたぶりました。 とても良く似ていて、可愛い雑種犬です。
もう40年前の子供ではない私は、遠く離れた場所からでしたが、この犬を引き取ろうとすぐに決めました。 40年前の、ゆきへの贖罪の気持ちが、ずっと心のどこかにあったから。ゆきそっくりの、殺処分寸前で愛護センターで怯えているこの犬を救えたら、 私の気持ちも救われるように思えました。
岡山から静岡まで、長い道のりを、 ボランティアさんの手で運んでもらえた犬は、小雪という、今ではかけがえのない家族です。
小雪という名前は、愛護センターで、しあわせの種たちのボランティアさんに付けてもらった仮名でした。 でも、この小雪という名前が、私にゆきを思い出させてくれました。 なので、そのまま小雪となりました。 それからは小雪が縁となり、小雪の姉妹犬らしいこが収容されたことで、その犬も引き取りました。
そして、このご縁を、私が里親になったことだけではなくて、他の人にも繋げていけたならと思い、預かりボランティアや搬送ボランティアになりました。
1頭、また1頭と、幸せになっていく姿を見ることが出来るこのボランティアは、 本当に嬉しいことがたくさんある反面、人間のエゴで捨てられたり、傷付いたりしている犬達を見る、とてもつらいこともあります。
同じ命のはずなのに、物のように軽く扱われることに怒りも生まれます。
でも、悲しんだり、怒ったりしているだけでは物事は何も進まないので、 とにかく目の前の命1つ1つを大切にして、幸せへの道に繋いであげられたらと思って、これからもボランティア活動を少しでも支えていきたいと思っています。
静岡メンバー 佐野千穂
佐野家保護っ子blog:
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